スピードスター

『スピードスター』

こんな呼び名で讃えたい、私の心のメンターのお話です。

その方は齢70歳を過ぎておられる現在でも、バリバリの現役の装飾金物技巧(加工の域を超えていますので、敢えてそう呼ばせて下さい。)職人です。

いつも整理整頓がなされていて、工場なのですが、チリ一つ床にありません。

通常、数人で数日かかりそうな製作であっても、たったひとりなのに、同じ日数で難なくこなしてしまうんです。

確かに腕は良いです。ピカイチです。

しかし失礼かとは思いますが、常識的に考えて、そこまでの技術の差を感じてもいません。

が、何故そこまでのスピードで製作を完了出来るのか。

今日は土曜日だったのですが、お話できる機会があり、その時にいつものような感じで『オヤッさん、ホンマにすごいスピードやねぇ。凄すぎますわ。』と話しかけたんです。

すると、こんな答えが返ってきました。

『あのな、ワシは残業キライやねん。

せやからな、必ず17時には仕事は終わる。

ただしな、そこからや。

家帰ってからな、次の日、やらなあかん仕事のことをな、どうやってやっつけるか、色々考えるねん。

メシ食いながらでもええし、紙に書いてもええし、製作するもんをどういう順番で組み立てて行くか、どんな準備せなあかんかをなじっくりイメージするねん。

そやな、例えて言うたら、頭の中のゼンマイのネジをな、極限まで巻き切るんや。

頭の中に段取りを、徹底的に擦り込むってことや。

後はな…。

次の日の朝、工場に行って、そのネジ、

外すだけや！

ゼンマイがえらいスピードで回転するわ。笑』

震えました！

久し振りに、ゾクゾクするようなワクワク感を感じました！

カッコ良すぎです！

オヤッさんに出会えて良かったと、また今日も思った一日でした。

さーて、来週からも新しいご依頼が待ってます。皆さん、頑張りましょう！